7月10日、東京ブロック主催の、「ウィズコロナ時代の群集マネジメント」~感染防止と経済の両立に向けて~、と題された研修会に参加しました。杉並区でも、「東京高円寺阿波おどり」など、時に身動きが取れないほど多くの観客が詰めかけるイベントが例年開催されており、それを適切にコントロールすることが行政にも求められています。数理物理学の研究者であり「渋滞学」を提唱するなど、この分野の第一人者である西成活裕教授にご講義をいただきました。
一掴みに「群集」と言っても、その人たちが群衆化している目的や性別・年齢などによって対応を考慮しなくてはならない、「相手」「事故」「現在」「未来」「危険」「制御」「自分」の7つを知ることが群衆マネジメントであり、「何一つ同じ群集はない」ことを意識して検討することが重要だと認識しました。事例を基にクイズ形式で「どこに問題があったのか」を考えさせていただける場面もあり、理解が深まったと感じています。
若手議員の会の一員として、スマートフォンの普及やIoTなど技術革新の恩恵を、群集マネジメントに生かしていくことについて積極的に取り組んでいきたいと思う一方で、監視カメラ画像の活用を活用する上ではプライバシー保護との両立が課題になっているという古くて新しい問題にも直面しました。また、鉄道駅の再構築や駅周辺の再開発にあたっては、群集混雑をアセスメントのような形で行い、場合によっては開発許可を出すために群集マネジメントの結果を考慮する、といった取組が必要となることも考えられます。この分野に求められる政治の責任についても認識を深めることができ、大変有意義な勉強会でした。ありがとうございました。
今回は、日本では初と言ってよい、科学的に体系立てて群集マネジメントの研究をされている東京大学先端科学技術研究センターの西成活裕先生を講師にお招きし、「ウィズコロナ時代の群集マネジメント」をテーマに、日本での群集マネジメント研究確立の経緯、今までの事故事例・研究成果の概要、そして今までの研究成果をコロナウイルス感染拡大防止に活用するか、などのお話しを伺いました。
まず、近年のサウジアラビアのメッカ巡礼での死亡事故がきっかけで、その対策のために群集マネジメントの研究がスタートしたことというのが興味深かったです。
そして、海外では群集マネージャーが専門職となっている国もある一方、日本は研究・対策が遅れており、今まではイベント等の各関係者の現場でのバラバラな判断も行われており、やっと2020東京オリンピック・パラリンピック対策を契機に本格的、体系的な研究が進んだということも驚きでした。
過去の事例を丁寧に分析すると、なるほどそうだったのかと、あらためて理解しました。今後、報道等で群集事故について取り上げられたときにも冷静にその原因を分析できるかと思います。
また、出入り口分離、ステークホルダー間のコミュニケーション、事前の計画の重要性、群集は止めないこと、群集制御の黄金則など、今回教えて頂いた知識は、自治体主催のイベントに対し、上記のことが対策として行われているのか、議員としての指摘・提言として活用できそうです。
ウィズコロナ時代ということで、本来、研究・対策として想定していた大規模な群集がイベント等で発生して、それをマネジメントしていこうという機会はほとんど無くなることかと思います。
しかし、この研究・対策を活かして、そもそも群集を発生させないようにすることは有効です。西成先生もおっしゃっていましたが、群集制御方法として、チケット制にしての流入制限などで、そうした「予約」社会への移行、動線や行列の制御、また、分散させ一斉行動を避けるなどで群集を防ぐことが挙げられます。
また、ソーシャルディスタンスなどの単純な距離基準だけでなく、リスクレベル評価を参考にした人工密度による面積基準も導入し、一定の面積ではそこにいられる人を制限するということも、これからのコロナ感染防止には有効になると思いました。
こうした知見も、議員として自治体や地域のイベント・店舗などに提言できるかと思われます。
ウィズコロナ時代は、本講義のような考えの、誰もが納得できる科学的・客観的なマネジメントによるコロナ対策が必要になってくると思います。
私もできうる限り、こうした知見を駆使して、地元自治体でも提言して参ります。
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