7月9日・29日と性教育・不妊治療プロジェクトチームの研修会が行われました。感想を参加議員が寄せてくれましたので、ご紹介します。
先日、「東京若手市議会議員の会」主催の「性教育不妊治療プロジェクト」勉強会、平山史朗先生による「不妊当事者のこころを理解したかかわりのために」が開催され参加させて頂きました。
6組に1組の夫婦が不妊を経験し、体外受精関連技術での出生児は17人に1人、生殖医療が「普通」の選択肢となった現状の中でも多くの方が不妊による全人的苦痛で悩んでいること、不妊当事者と第1層~第3層の人間関係の中での関わり方、「少子化対策」や「性教育」に於いても一方的な価値観の押し付けにより辛い思いをしてしまう方がいることなど学ばせて頂きました。
また最後に先生が仰っていた「多様性」について、私の中でも「認める」ものではなく「そこにあるもの」として自然と捉えていくこと、それが当たり前の社会に変えていくことが重要だと感じました。
今回の勉強会で学ばせて頂いたことを政策に活かしていきたいと思います。
本当にありがとうございました。
私の場合はLGBTのG(ゲイ)の当事者であり、それを選挙の際にプロフィールとしてオープンにしていますが、「石坂さんはお子さんは?」と聞かれることがあります。
また、現在は戸籍上も女性から男性に変更をして生活をしている知人(トランスジェンダー男性)で女性と結婚をされている方がいます。その方は非配偶者間人工授精(AID)で親となったものの、性同一性障害による戸籍変更をしたという記録が戸籍上の記録として残っているために、法律上親子として認められるまで大変な苦労をされましたが、トランスジェンダー男性の親が子供を持つ唯一の方法として同じ方法を選択するトランスジェンダー男性の方はほかにもいます。そして、AIDを不妊治療助成の対象としている自治体は現在ごくわずかの自治体のみに限られています。
今回の研修会では、AIDの歴史的経緯や、現状では国内において、子どもの知る権利と提供者の個人情報の守秘との間の難しさから、AIDの選択がしづらくなっていることなどについても話を伺うことができました。
不妊治療について今回の研修で様々なことを学ぶとともに、子どもを持つことを希望されている、全てのカップルが、子どもを持つ機会に恵まれるよう自治体ができる支援について今後も考え続けていきたいと改めて考える機会となりました。
今回はこれまで1,000社以上で、業績向上を両立しながらのワーク・ライフバランス実践を支援されてきた株式会社ワーク・ライフバランスの新井セラ様、大西友美子様より、男性の育休取得をテーマにオンラインでご講演頂きました。その内容を簡単にご紹介します。
まず現状の整理しますと、日本における“人口ボーナス期”(生産年齢人口の比率が高く、爆発的な経済発展が可能な期間)は1990年代に終わっていて、現在は“人口オーナス期”にあたります。この人口オーナス期には労働力人口が年々減少していくため、その中で社会を維持するには社会全体の大転換が必要となってきます。
例えば、人口ボーナス期であれば、企業では「なるべく同じような技能・境遇の」「なるべく男性が」「なるべく長時間」働く形が一般的でした。しかし、現在のオーナス期にあっては、「多様性を持たせるためにもなるべく異なる条件の人が」「なるべく男女ともに」そして「なるべく短時間」で働けるような労働環境の整備を行っていかねば、経済発展は望めません。その点、まさにこれからは女性だけに育児の負担を押し付けず、夫婦で分担できるように、“男性の育休取得”が必須となってくるのです。
近年、政治の世界でも現職の大臣が育休を取得したり、国会で議連が設立されたりと、徐々に注目されてきているところですが、いまだ一般企業においては躊躇しているところも多い状況です。
勉強会では新井様より、企業での導入を躊躇させる阻害要因を8つに分類して解説頂き、8項目ごとにそれぞれ、「どういう気持ちでためらうのか」という心理的な要素とそれを打破する対策、そして実際にその対策を導入した企業の一覧をまとめていただいた、それは見事な分析をしていただいたのですが、この内容は公開するわけにはいきませんので(笑)、タイトルだけ列挙します。
《企業での阻害要因》
A 深い理由はないが、あえて申請しないだけ
B 前例がない・取りたいけど周囲の目が気になる
C すでにタイミングを逸したまま
D 収入の減少・マイナス評価
E 妻に反対される
F 上司の理解がない
G 人手不足・仕事の属人化
H 事業部門長が後ろ向き
いかがでしょうか。おそらく、ほとんどの要因は上記8項目にまとまっているのではないかと思います。その後、議員間で改めて「どうして男性の育休取得が進まないか」についてのアイデア出しを行い、質疑応答をもって終了となりました。
講演を通して、内容をとてもロジカルにまとめて頂いていたため、「そりゃ当然男性も育休取得しないとまずいよね」と、子育て未経験の私でもすんなり理解できたとともに、(内容とはあまり関係ないことですが、)アイデア出しの際にジャムボードを模造紙と付箋代わりに活用されていて、「オンラインでのワークショップはなるほどこう行うのか」と、また違った角度でも気づきがありました(笑)
育休取得の促進については、法律改正など多くが国の所管事項となってきますが、目黒区議は本勉強会に3名参加していたので、今回様々頂いたアイデアを区に持ち帰り、目黒区で何ができるか、じっくり考えて参ろうと思います。新井セラ様、大西友美子様、貴重なお話をありがとうございました。
7月29日、性教育・不妊治療プロジェクトの「働き方改革で日本の社会課題を解決~不妊治療と仕事の両立を考える~」と題された勉強会に参加しました。講師を務めて下さった㈱ワークライフバランス様は、企業・団体向けの研修活動にとどまらず、政府の各種会議にも積極的に参加されるなど、働き方改革の旗手として活躍されている集団です。私も個人的に以前から注目しており、代表取締役社長の小室淑恵さんの講演会に参加したこともありました。一方で、性教育・不妊治療とどのような関係があるのだろうか、という点については、事前にはあまりイメージがついていない状態で勉強会の開始を迎えました。
講義の中では、働き方を変えていかなくてはならない背景として、人口ボーナス期から人口オーナス期に移行した日本の社会構造の変化が取り上げられました。時間制約のない働き手が少数派になっていく時代の到来を目前に控え、構造改革が日本の企業、組織に求められていることを示されました。なかでも、「男性育休の義務化」について、7月1日に発表された「選択する未来2.0委員会」の中間報告書にこの文言が盛り込まれたこともあり、重点的に取り上げられ、このテーマでのグループワークも行いました。
グループワークと講義を経て、男性育休を阻害する要因については、既に対策が確立し、その対策を行っている企業の実例もあり、政治の政界でも議連から内閣官邸に提言の申し入れが行われていることなどを学びました。性教育・不妊治療と男性育休の結び目は、それぞれが少子化に対する非常に重要な対策ということで、労働時間の短縮が出生率に対して大きくインパクトするという試算が紹介されていました。またこれまでの講義でも度々議論になっていた、不妊治療と仕事の両立においても、働き方改革の恩恵は重要な要素であることが理解でき、大変有意義な勉強会でした。ありがとうございました。
Comments